胸膜播種胸腺腫:肉眼的切除後の全片側胸郭照射で5年局所制御66.5%
胸膜播種を伴う初発または再発胸腺腫71例の前向きPhase II試験で、肉眼的切除後の低線量全片側胸郭照射は5年照射野内無再発率66.5%、5年OS 98.6%を示しました。
詳細
背景
胸腺腫は胸膜播種を来すことがあり、肉眼的切除後も胸腔内再発が問題になります。全片側胸郭照射は広い胸膜面を対象として微小病変を制御する狙いがありますが、適切な線量、照射範囲、有効性と安全性は確立していません。本試験は手術後の強度変調放射線治療による全片側胸郭照射を前向きに評価しました。
方法・結果
初発または再発の胸膜播種胸腺腫を登録し、肉眼的切除後に全片側胸郭へIMRT 14 Gy/14回を実施しました。原発腫瘍がT2を超える場合は縦隔腫瘍床へ30 Gy/15回を追加しました。2020年4月~2021年12月に71例がプロトコル治療を完遂し、初発32例、再発39例、年齢中央値46歳でした。追跡期間中央値57か月で死亡は2例、病勢進行は34例(47.9%)でした。照射野内胸膜再発は24例、照射野外再発は10例でした。PFS中央値は50か月、3年・5年PFSは68.9%・50.8%、照射野内再発をイベントとする3年・5年無再発率は78.8%・66.5%、5年OSは98.6%でした。主な毒性は悪心、倦怠感、嘔吐で、多くは軽症でした。
結論・臨床的意義
肉眼的切除後の低線量全片側胸郭照射について、胸膜播種胸腺腫で長期局所制御が得られる可能性と実施可能性を示す前向きデータです。著者らは有望な局所治療戦略としつつ、最適な線量と標的体積の追加検討が必要と結論しました。
限界
原著全文を確認できず、利用可能な公開抄録では著者が明示した限界を確認できませんでした。
AI COMMENT
5年OS 98.6%は注目されますが、対照群のない単群Phase II試験であり、肉眼的切除を完遂できた選択患者の予後を反映する可能性があります。また、病勢進行34例のうち照射野内再発が24例あり、局所制御は完全ではありません。現在の結果から手術単独や他の放射線治療法に対する優越性は判断できず、比較試験または外部対照を用いた検証と、長期の心肺毒性評価が必要です。